プロジェクト

グラフェン

グラフェンとは

グラフェンは、炭素原子でできた原子1個分の厚さの膜です。可視から赤外までの広い波長範囲の光に対する高い透明性、良好な電気伝導性・熱伝導性などの優れた特性があり、ITO(インジウム・スズ酸化物)に代わる透明導電膜用の材料をはじめ、多様な可能性を有する素材として注目を集めています。 グラフェンは、2004年にグラファイトを粘着テープに貼り付けて剥離するという方法で実証されました。この手法で得られるグラフェンは微小で生産性も低く、工業材料に適用するためには、広い面積に、または、多量に、連続生産できる合成法の開発が必要です。

表面波励起マイクロ波プラズマCVD装置(2.45GHz)による生成法

そこで、炭素を含むメタンガスなどを熱分解して、ニッケルや銅の表面に大面積のグラフェンを形成する化学気相蒸着法(CVD)が開発され、工業利用への可能性が高まりました。ただし、この手法によるグラフェンの合成には1000℃が必要なため、ロールtoロールなどによる連続生産の実現は困難です。
 TASCでは、産業技術総合研究所が開発した低温合成に有利な表面波励起マイクロ波プラズマCVD法を用いて、グラフェンの大量生産技術の開発を行っています。この手法では300℃という低温でグラフェンの合成が可能です。しかも、大面積かつ高速という条件でグラフェンを形成できることから、連続生産に適しています。

ロールtoロールによるグラフェン連続合成および連続転写装置

ロールtoロール方式は、その高い生産性から食品産業、エレクトロニクスなど、様々な分野で採用されている技術です。これまでロールtoロール方式の成膜では、真空多元蒸着法や多元スパッタ法が量産装置として実用化されています。TASCではグラフェンの大量生産のため、表面波励起マイクロ波プラズマCVD法によるロールtoロール生産技術を開発します。また、グラフェン成膜に使用する基材は銅箔ですので、透明導電膜として利用するためにはグラフェンを銅箔からPETなどの樹脂基材へ転写する必要があり、ロールtoロール方式による連続転写技術も同時に開発します。

グラフェンプロジェクト研究内容と目標

グラフェンは低抵抗で高い透明性とフレキシビリティを兼ね備え、化学的にも安定なことから、曲面型タッチパネルをはじめとした各種フレキシブルデバイスへの応用が期待されています。本研究開発におけるターゲットのひとつの静電容量式タッチパネル用透明導電フィルムは、現在、ITOが主流となっています。私たちは、プラズマCVD法により ITO透明導電フィルムと同等以上の特性を有する、シート抵抗150Ω/sq.以下、基材込みの透過率88%以上のグラフェン透明導電フィルムの開発を目指しています。

なお、平成23年度のNEDO委託事業 「希少金属代替材料プロジェクト/グラフェンの高品質大量合成と応用技術を活用した透明電極向けインジウム代替技術の研究開発」におきまして、プロジェクトの目標値であるシート抵抗が500Ω/sq.以下、基材を除いた透過率が87%以上のグラフェン透明導電フィルムを開発しています。 これは、プラズマCVDを用いた低温かつ大面積でのグラフェン合成技術およびドーピングを用いた低抵抗化技術によるものです。また、実用化を目指した取り組みとして、抵抗膜式タッチパネルを試作してカーナビゲーション装置に実装し、正常に動作することを確認しています。

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